院長コラム

食事を見直す「強化インスリン療法」編

2013年2月1日

今回は、強化インスリン療法を再考します。2008年、六月、米国糖尿病学会で、2つの注目する発表がありました。一つは、ACCORD(アコード)試験で、強化療法群のHbA1cは6.3%、従来群は7.5%でした。一万二百五十一人を平均3.5年観察した結果、強化療法群で、全死亡率が5%、従来群で4%と有意差をもって増加していました。その結果、強化療法が中止になりました。一見、強化療法により死亡が増えたように思われますが、そうではありません。BMI35という肥満者に、SU薬を内服させながら、インスリン注射で血糖を下げていたのです。人の手を借りる低血糖が16.2%あり、体重増加10kg以上の割合が27.8%含まれていました。肥満者に体重減少させずにSU薬を内服させ、インスリンを打ちつづければ、早く死ねということです。アプローチの方法がとても大切であり、インスリン強化療法が悪いので中止した米国糖尿病学会は、完全に間違っています。これらの肥満者の多くは、高インスリン血症です。もともとインスリンの追加など必要ない人々です。食事療法の徹底化が望まれます。
もう一つ、ADVANCE(アドバンス)試験が発表されました。強化インスリン群のHbA1cは6.5%で、従来群のそれは、7.3%でした。試験結果は、大血管障害も、全死亡も有意差がなっかたのです。ただし血糖とともに血圧も強化療法を行うと、心血管死亡が24%、全死因死が18%有意に低下していました。一万一千百四十人を5年間観察したものでした。
これに対して日本からNICE(ナイス)試験が発表されました。中津済生会病院・西村先生からの報告です。約400人の2型糖尿病患者さんを、レギュラーインスリン(30分前に皮下注射)から超速効型インスリン(食直前皮下注射)に変更し、4.5年間経過観察しています。その結果43%の心血管イベントが減少したのです。食後の血糖値を下げることの重要性が初めて確認されました。空腹時血糖値はレギュラーインスリン群が128mg/dlで、超速効型インスリン群が133mg/dlで、差はありませんでした。しかし、食後90分値は、253mg/dl対194mg/dlで、超速効型インスリン群で有意に低かったのです。
血糖が急激に上昇する単糖類でなく、ゆるやかな上昇を示す多糖類(米、イモ類)を主食にすべきです。