はじめに
消化器診療の基本は食事療法にあります。外来診療においても常に、患者さんの食事内容の把握に努めています。消化器疾患の約8割は、食事の内容で決まります。残りは遺伝などが原因となります。
当院では何を食べるべきか、何を避けるべきかの指導を個別に行っています。
食事指導をしっかり守ることでお薬の効果も出てきます。
食事療法が消化器治療の基本なのです。
内視鏡検査と診療方針
内視鏡検査においては早期癌の発見に主眼を置いています。
そのため、胃及び大腸内視鏡検査での色素散布はかかせない手法と考えています。特に大腸早期癌の発見のためには、色素散布を利用した腫瘍表面のピットパターンの観察は必須と考えています。X線透視を使用しない一人法による挿入法を用いています。
a)大腸ポリペクトミー
もし大腸ポリープが発見されればその場で切除してしまいます。後日にすると、また前処置からやり直さねばならず、ご本人の負担が大きいからです。
b)経鼻内視鏡
従来の経口法による胃内視鏡は嘔気(えずき)が欠点でした。
経鼻法(直径5mmの内視鏡を使用します)でほぼ解決しました。
スクリーニング検査としてまず経鼻法をお勧めします。
(イラスト:オリンパスメディカルシステムズ(株)メディカルタウンより引用 http://www.medicaltown.net/)
腹部超音波検査
日常診療によくみられる疾患の鑑別診断にきわめて有効です。
X線による被爆が全くなく、くり返し検査がいつでもできます。
a)急性腹症
腹痛の患者さんが、外科的処置が必要か否かを見分けることは極めて重要です。腹痛の鑑別診断に腹部超音波検査が役立ちます。 特に急性虫垂炎とその類似疾患(急性憩室炎、回盲部リンパ節炎、腸重積症、感染性腸炎など)の診断に腹部超音波検査はかかせません。
b)下血
下血を伴う疾患として、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、薬剤性腸炎、感染性腸炎などでその診断と鑑別に腹部超音波検査がきわめて有用です。
c)感染性腸炎
キャンピロバクター、細菌性赤痢、サルモネラ、ビブリオ、エルシニア、細菌性赤痢、病原性大腸炎、ウィルス性腸炎の鑑別診断は約70%で可能です。

d)胆石症
胆石の治療方針は、胆石の超音波分類(土屋の分類)によって
決めることができます。手術適応なのか、体外衝撃波療法で破砕可能なのか、経過観察でよいのかは、土屋分類が必須です。
不必要な手術は避けたいものです。

土屋分類I型で、2cm以下の胆石は体外衝撃波療法の適用となります。
e)内臓脂肪
2005年4月に、新しい疾患として「メタボリック・シンドローム」という症候群が確立しました。内臓脂肪肥満(皮下脂肪ではありません)があると、高血圧症、高脂血症、糖尿病になりやすく、 その結果、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。内臓脂肪量は腹部超音波検査では腸間膜の厚さとして判定できます。9mm以上の場合は内臓脂肪型肥満となります。

f)その他
腸閉塞のとき今すぐ緊急手術が必要なのか(絞扼性)まだ待てるのか(単純性)の診断に有用です。進行がん(大腸がん、胃がん)も腹部エコーで診断できます。
血管エコーで診断できる疾患
a)頚動脈エコー
動脈硬化症は血液検査だけでは決してわかりません。採血の結果はあくまで血管内の濃度を表すだけで、組織内の(血管壁内)の濃度とは異なります。血液検査だけでは動脈硬化を判定できませんが頚動脈エコーでは、内膜中膜肥厚(IMT)と血栓(プラーク)がわかります。IMTが1.1mmを越えると糖尿病の疑いが強くなり、1.3mmを越えると脳梗塞になりやすく、1.6mmを越えると心筋梗塞が発症しやすくなります。血栓エコーは早期動脈研究会で typeI〜typeIVに分類されています。
現在この分類と疾患との相関について調査中です。

b)椎骨動脈エコー
めまいの診断時、椎骨動脈の血流不全があると椎骨脳底動脈不全症(VBI)が診断できます。
c)下肢血管エコー
末梢動脈疾患(PAD)は、下肢動脈血栓のため歩行時に下肢痛が生じる病気です。進行すると下肢切断が必要となります。
深部動脈血栓症(DVT)は女性に多い疾患です。血栓エコーにて診断できます。











