すい臓にやさしい糖尿病治療とは

SU剤の長期服用は結果的にすい臓を弱らせてしまいます

一般に、糖尿病は血糖値が高くなる病気で、その治療は血糖値を下げる事だと思われています。そのため、治療の第一選択肢として、血糖降下剤(SU剤)が投与されています。しかし、そのSU剤はすい臓の細胞にムチを打って、インスリンをむりやり分泌させる薬であるため、SU剤を長期間服薬すると、弱ったすい臓はさらに弱り、すい臓細胞の大半が破壊されてしまうと当院では考えています。結果として、すい臓の細胞が破壊されてしまうとインスリンを外から補うほかに手立てがなくなり、一生インスリン注射が手放せなくなることになります。そこで、当院では15年以上前から、すい臓の保護を第一に考えた治療に取り組んでいます。

糖尿病の治療は、すい臓の疲労回復を優先すべきです

当院では「糖尿病はすい臓の疲労が病気の本体」だと考え、すい臓から分泌されるインスリン分泌量から、すい臓の疲労度を計測し、すい臓の機能回復を最優先にした治療方針を立てています。すい臓の残存する分泌機能が健常者と同等、あるいは同等以上の人は、食事療法と運動療法のみで治療することが可能です。

すい臓の疲労度が激しければ「強化インスリン療法」を導入します。

すい臓は人間の中で最も遅くできた臓器とされており、回復する機能を備えた特殊な臓器です。そこで、弱った膵臓のインスリン分泌の負担を減らすため、約1ヶ月間インスリンを外から補います。その間、休むことができたすい臓が元気を取り戻し、再びインスリンを分泌し始めることが多くあります。その結果、血糖値は安定し、数多くの方がインスリン注射と内服薬が不要の生活に戻れます。

すい臓の分泌機能が健常者の30%以上残存していれば「インクレチン関連薬」を第一選択に、食事療法と運動療法に加えて血糖値をコントロールします。

薬物療法では、インスリンの分泌量に加えて、体内でのインスリンの効きやすさや食後血糖値の上昇の程度から、その人にあった薬物療法を選択しますが、全ての場合に使用可能な新薬が2009年12月に発売されました。DPP-4阻害薬(ディーピーピーフォーそがいやく)と呼ばれています。

DPP-4阻害薬は、これまでの糖尿病薬と異なり、小腸から分泌されるインクレチンというホルモンを増加させる作用があります。インクレチンは血糖値が高いときだけインスリン分泌を促し、血糖値が下がってきたらインスリンの分泌作用がなくなるため低血糖が起こりにくく、さらに、すい臓の細胞を保護する働きもあります。糖尿病治療の初期にDPP-4阻害薬を使うことでⅡ型糖尿病の自然経過を良い方向に変えることが期待できます。

もし、健診などで糖尿病と診断されたら、まず糖負荷インスリン検査ですい臓の疲労度を測定していただき、できる限り早い段階で治療を開始していただきたいと思います。

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