院長コラム

食事を見直す「コメノチカラ」編

2013年2月1日

コメノチカラ
東京医学校(現東京大学医学部)の教授に招かれたドイツ人医学者ベルツの食の実験があります。
当時、観光地、日光へは、鉄道が通っておらず、百十キロを馬を六回乗り換え、十四時間もかかったといいます。ところが、同じ道を人力車は一人の車夫の引きっぱなしで、十四時間半で到着したのです。ベルツは近代栄養学を紹介した人でもあり、車夫の弁当をみると、玄米の握りめしに、梅干、味噌大根の千切りとたくあんだけの炭水化物が主で低タンパク・低脂肪食でした。当時から、ドイツ栄養学は、タンパク質を重視する立場でした。22才と25才の人力車夫を雇い、獣肉中心の食事に変えてみました。そうしたところ車夫たちの疲労が激しく、三日間で走れなくなっていました。そして元の食事に戻したところ、また前のように走れるようになったのです。コメの力を示す有名な例です。

さて、コメの調理法には大きく分けて二つあります。平安時代、蒸す方法は「強飯(こわいい)」といい、煮る方法は「粥」と呼ばれていました。強飯とはおこわのことで赤飯もそうです。粥のうち水分の少ないものを「固粥(かたがゆ)」、汁気の多いものを「汁粥(しるがゆ)」といいました。この固粥は強飯に対して「姫粥(ひめいい)」とも呼ばれていました。

江戸時代になってぬかを落とした白米を食するようになり、厚手の釜で炊くようになって、煮る→蒸す→焼く(水分を飛ばす)という、いまの炊飯法になっています。コメを煮るもう一つの方法に「湯どり」というのがあり、これは煮ていく一方で、水分(重湯)をどんどん捨ててゆく方法で、タイではこの方法が用いられています。

白粥を「粥」といい、鍋料理などを食べたあとの汁にめしを入れたのを「雑炊」といいます。「おじや」は宮中の女房詞です。その他に、握りめし、焼おにぎり、丼もの、にぎり寿司、おし寿司、ちらし寿司(ばら寿司)、茶漬け、炊き込みめし、ねこめしなどさまざまな種類があります。いろいろな「めし」を楽しみましょう。

「めし」は生きるパワーのもとです。